甲野裕之先生との共同研究成果がCarbohydrate Polymersに受理されました。
Kono H. et al., Charge-density-dependent selective radical suppression in carboxymethyl cellulose. Carbohydrate Polymers, 387, 125491 (2026).
本研究室の研究成果が論文として受理されました。本研究は、責任著者である苫小牧工業高等専門学校の甲野裕之先生との共同研究として実施したものです。体内や食品中では、老化や炎症、食品劣化に関与する「ラジカル」が常に発生しており、その制御は抗酸化研究における重要課題です。従来、抗酸化作用はラジカルを直接消去する化学反応として理解されてきました。本研究では、代表的な水溶性多糖であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いてラジカル反応を解析した結果、多糖がラジカルを単純に消去するのではなく、分子周囲に形成される「反応場(reaction field)」を介してラジカル反応そのものを制御していることを明らかにしました。さらに、多糖の電荷密度によって抑制されるラジカル種や抑制効果の強さが変化することを見出しました。これらの成果は、多糖がラジカル反応を「環境側から制御する」という新しい抗酸化メカニズムを提案するものであり、抗酸化研究の視点を従来の「化学反応」から「環境設計」へと拡張するものです。今後は、食品・医療・材料分野における精密な抗酸化設計への応用が期待されます。最後に、抗酸化研究の新たな概念を提案する本研究に参画する貴重な機会を頂きました甲野先生に、心より感謝申し上げます。