糖質複合分子の機能設計に関する研究

糖鎖の役割は、エネルギーや構造体から細胞間認識、ウイルス感染に至るまで、実に多種多様です。この性質の豊かさは、糖構造の複雑性や異分子との結合による構造多様性などと密接に関わっており、その多様かつ複雑な分子を正確に再構築し、活用する試みが盛んに行われています。さらに、この構造複雑な糖鎖を単純化あるいはモデル化してもなお、天然の精密な機能を維持できないか?あるいは天然物をも超える材料を創り出すことができないか?ということについても、現在大きな関心が寄せられています。本研究室では、独自の化学酵素合成法を用いて、未利用もしくは安価な糖質素材から、分子認識素子として機能する糖鎖を改変・再構築し、さらに、合成した糖鎖を異分子などへ導入することで、様々な機能性糖質複合分子の創製研究に取り組んでいます。これまでに開発した糖質複合分子の中には、天然の分子認識能を遥かに凌ぐものや、天然物とは全く異なる物性を示すものなど様々で、日々、材料開発の楽しさを実感しています。